一級建築事務所 南方設計

設計事例

神戸のマンション 改装工事

 

延床面積 約70㎡(約21.1坪)
構造   鉄骨造

築約50年の、分譲マンションのリノベーション。施主様の祖父が以前住んでいたというこのマンションは、山側の閑静な住宅街にあり、南と西に開放的な眺望を得られる場所です。阪神大震災にも耐えたこの建物、今回住むのは共働きの夫婦と子供二人の計4人。夫婦とも多忙という事もあって、機能的で子供たちと楽しく暮らせる住環境が求められました。

元々の間取りはLDKと和室6帖が3部屋。施主様の要望を聞くと、リビングはなるべく広く、和室の一室は子供二人の部屋、一室は寝室、もう一室はユーティリティーを兼ねた予備的な部屋に、という事でした。

大きな間取りの変更は必要としませんでしたが、リビング続きの和室を6帖から4.5帖に減らして寝室とし、リビングを1.5帖広げました。その間仕切りを3枚引戸とし、一体的な空間として利用できるようにしました。そうすることでリビングまで南側の光を取り込むことができました。キッチンは奥様が調理中も家族の顔が良く見えるよう対面キッチンに。浴室、トイレ、洗面など水廻りを一新し、リビングが狭くならない程度に広い空間としました。また奥行きが深すぎて使いづらい押入れをウォークインクローゼットに変える、ちょっとした空きスペースも収納として有効利用する等、使い勝手の良い収納を増やしました。

今回の改装では全てを変えてしまうのではなく、所々に施主様の祖父が使っていた空間の痕跡を残しました。船底天井の和室に使われている桜の棟木、床柱などです。今は「古い木」という認識かも知れませんが、子供たちが大きくなる頃には7,80年ものの「我が家の銘木」になる可能性があります。その時、その祖父がいたときの記憶が、時を超えて継承されていくのかも知れません。